シネマの中のオードリー・ヘプバーン#2:初恋(と思いきや)

2020年、オードリー・ヘプバーン出演映画を全て観ようと思いたった。彼女の出演作は全27作品(助演も含む)。そのうち、初期の2作品と晩年の1作品、計3作品については残念ながらDVD未発売なので、残りの24作品の制覇を目指すことにした。


今回は「オードリー・ヘプバーンの初恋」という作品。1952年、オードリー22歳の年に公開された映画だ。DVDタイトルに“オードリー・ヘプバーンの”とついているが、彼女は助演。初期作品のDVDはこういうのが多いな。

ストーリー(ラブロマンスと思いきや)

「オードリー・ヘプバーンの初恋」なんて言われたら、オードリーのラブロマンスを想像するのが普通だと思う。しかし、実際はかなりドキドキもののサスペンスだ。

あらすじ

1930 年、ロンドン。マリアとノラ(オードリー・ヘプバーン)の姉妹は、独裁者ガルバーンへの抵抗運動を続けていた父が投獄されたため、父の親友アンセルモを頼ってくる。7年後、ともに美しい娘へと成長したマリアとノラは、父の獄死を知らされるも悲しみを乗りこえ英国市民としての新たな人生を歩み出す。そんなある日、アンセルモに連れられてパリの万博会場を訪れた姉妹の前に、マリアのかつての恋人ルイが現れる。ルイは秘密結社の一員としてガルバーン暗殺を企てていた…。

引用元 NEW LINE CORPORATION

「初恋」というタイトルは邦題であって、原題は「SECRET PEOPLE」。つまり、“秘密結社”という意味だ。なぜ邦題に「初恋」を持ってきたのだろう。海外作品の邦題をめぐっては、ついセンスがいいとか悪いとか批評したくなってしまうが、この作品に関して私は批判的。恋愛要素がないわけではないけれど…本編を観た人とぜひ議論したい。

作品自体はなかなか面白い。若くて美しい姉妹が不穏な暗殺計画に巻き込まれ、人生の歯車が一気に狂っていく様が生々しく描かれている。しかし、モノクロ映像と登場人物たちのコミカルなキャラクターが、ストーリーの深刻さを和らげていてバランスがいい。クライマックスはなかなか衝撃的だったけれど。

オードリーのバレリーナ姿

この作品の最大の見所は、なんと言ってもオードリー・ヘプバーンのバレリーナ姿だ。彼女は元々バレエダンサー志望だったのだそう。しかし、176センチという長身のためにバレエの道を諦め、演劇の世界に入ったのだとか。プロを目指していただけあって、彼女のダンスは非常に美しい。

オードリー・ヘプバーンは1929年、ベルギー生まれ。世界恐慌の年に生を受け、第二次世界大戦の戦禍を生き抜いた。育ち盛りの10代の頃に十分な栄養をとれなかったという事情もあり、かなり痩せている。しかし皮肉にも、その華奢でか弱い体つきが彼女のダンスに儚さと美しさをプラスしているように感じた。オードリーのダンスシーンは決して多くはない。しかしとても印象的なので、記憶に色濃く残っている。

今まで“映画の中のダンス”と言えば、断トツで「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールスだった。レオタードに身を包んだジェニファーがエネルギッシュに踊る狂う、あの映像だ。しかし本作を観て、少し順位が変動した。オードリーの可憐な踊りは、心に訴えかける何かがある。

再会の美酒はモエシャン

ワイン好きとしては、映画に出てくるワインの銘柄も気になるところ。本作ではマリアが昔の恋人に再会した際、祝酒として“モエシャン”ことモエ・エ・シャンドンが登場した。

モエ・エ・シャンドンは、シャンパーニュ大手のLVMHグループが手がけるシャンパーニュ。1950年代といえば、LVMHによる自社銘柄のPR活動が活発になりつつあった時代だ。モノクロ映像にもかかわらず、画面に堂々と映り込むモエのエチケットからは華やかなオーラが放たれているようで、気分が高まる。作品を通してここが最も幸福なシーンだ。このあと主人公たちが直面する困難とのコントラストが、物悲しくも美しい。

すだち評価

評価 :3/5。

好き嫌いが分かれそうだけれど、私は割と楽しめた。CGも特撮技術もない時代のサスペンスって、逆にドキドキする演出に溢れていて面白い。その分、生々しさもえぐいけれど。残念なのはやはり邦題。ラブロマンス押しのタイトルはやっぱりちょっと…議論の余地ありだ。

ただ間違いなく言えるのは、オードリーがとにかく可愛いってことかな。

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